JR富良野線の踏切を越えて天人峡方面に左折すると、
左右を山に囲まれた広い田畑の広がる平坦な直線道路が続きます。

収穫が終わり、すっかり冬支度の整った枯草色の田畑の向こうに、
綺麗な青空を背景に、彩り豊かに紅葉した山の稜線がくっきりと浮かび上がり、
美しいコントラストを作っています。

思わず車を止め、鮮やかな秋の美瑛の山を写真に収めます。

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天人峡への山道に入り、大きな湖を左手に見ながら、川沿いの道を登っていくと、

幾つかのトンネルを抜けた先に、岩肌を露わにしそそり立つ、険しい山肌が見えてきました。
見覚えのある風景に、自然と心が高揚してきます。

「久しぶりだなぁ。でも昔に比べトンネルも多くなって、大分整備された感じするなあ。」
などと関心しながら大きく曲がったトンネルを抜けると、天人峡に到着です。


駐車場に車を止めて坂道を登ります。渓谷に架かる橋を渡り、
懐かしい天人閣の建物の横を通り過ぎますが、人影もなく閑散とした様子。

目の前にある、”涙岩(なみだいわ)”も、その名の通りどことなく悲壮感が漂います。

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そこから、勢いよく流れる川の流れを右手に見ながら歩くこと約5分、
有名な”羽衣の滝(はごろものたき)”に到着します。

岩がむき出しになった山の頂きに近い場所から、勢いを伴った水が滾々と流れ落ちてきます。
山の中腹で2つの滝の流れが合流しさらに一番下の滝壺に流れ落ちています。

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落差は約240m。白い線状の刺繍が入った透明な反物を、
高い段差がある階段から幾つも落として広げたようなその様が、
天女の羽衣を連想させます。

遊歩道の終点で、老夫婦が滝をバックに記念撮影しています。

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写真を撮り終えた老夫婦に近づいて話しかけます。

「いやぁ、20年ぶりくらいに来たんですけど、やっぱり素晴らしいですね。」

「どちらから来られたんですか。」
「僕は埼玉からです。」
「おお、遠い所から。私は地元で今まで何回も来てるんですけど、
 つい最近まで
土砂崩れの影響で、ここまで来れなかったんですよ。」
「えっ、そうなんですか?」

聞くところによると、5年ぐらい前に起きた土砂崩れの影響で、
今年の春まで遊歩道が通行止めで滝を見に行くことが出来なかったそうです。

事情をまったく知らなかった自分。

確かに、最初に滝を訪れた20数年前は、鬱蒼とした木立の道を潜り抜けたところに、
忽然と滝が現れるイメージだったのですが、
滝周辺には新しく設けられたコンクリートの小道やトイレがあり、
随分整備されたと思っていたのが、そんな事情だったとは。。

「いやぁ、思い立ってなにも知らずに来たんでラッキーでした。」
「私も、再び羽衣の滝を見れて良かったです。」

よかったですね。とお互い喜びながら老夫婦と笑顔で別れます。

老夫婦が去った後も、しばらく壮観な滝の流れを満喫した後、
”羽衣の滝(はごろものたき)”を後にしたのでした。


天人峡からの帰り道。来るときに気になっていた大きなダム湖に立ち寄りました。

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後でネットで調べて分かったのですが、この湖は忠別湖と言って、
2007年に忠別ダムができたことによりできた人工湖だそうです。

確かに言われてみれば昔行った時には湖なんてなかったはず、と思えますが、
さすがにそこまでは気づきませんでした。

暫し、大雪山山系を遠く望む雄大な景色を眺めながら、北海道の懐の深さを感じます。

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忠別湖を出発しもと来た道をひた走ります。まだ午後3時だというのに、
雲がかかっているせいか空は何となく夕暮れを感じさせる雰囲気。
美瑛への直線道路まで来たとき、雲の切れ間から見事な遮光が射してきました。
思わず車を止めて写真を撮ります。

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さて、美瑛の市街地まで来ると、交通標識にたくさんの有名な丘の名前が出てきます。
時間を見ると3時15分。丘を見る最後のチャンスです。
富良野で行きたいスポットもまだたくさん残っています。
ンビニで車を止め、少し考えた末。

「よし、丘を見に来たんだから、丘を見る最後のチャンスに賭けよう。」

と、富良野へ帰るルートに一番近い”新栄の丘(しんえいのおか)”に向かいます。

緩い傾斜の道路を登り続けると、やがて視界が開け、丘の頂上付近に駐車場が見えてきました。
駐車場に車を止め、外に出ます。

丘周辺の上空には薄い雲に覆われ、辺りはもう夕刻のような雰囲気です。
道路の反対側に出ると、遠くに大雪山系を望む雄大な美瑛の丘が眼下に広がっています。

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暫らくその雄大な風景と対峙しているとさらに辺りが暗くなってきました。
道路を渡り、駐車場の向こうにある土手の方まで登っていくと、遥か彼方の雲が、
太陽の光を隠し、
白い木柵の向こうに広がる丘がだんだんと暗くなっていきます。
ぽつぽつと、細かい雨が降り始めました。

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やがて、遠方の空の雲が切れ、太陽の光が差し込み丘全体を照らしていきます。

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その美しい情景に、

「あぁ、やっぱり思い切って丘に立ち寄って正解だった。」
と感慨にふけっていると、誰かが僕の後ろで声を上げます。

「おーっ、虹が出てるぞ!」
振り返るとそこに、見渡す限りの丘の端から端まで、見事な虹の架け橋がありました。

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自称、よく虹に出会う虹男(にじおとこ)?の自分も驚くぐらい完璧な虹の架け橋です。

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「北海道の大地は、どこまでこの偶然のプレゼントを、僕に用意してくれているんだろう。」
と心から感謝します。

やがて、雨も止み、虹が消えると、
太陽からの、美しい放射状の光に照らされた”新栄の丘(しんえいのおか)”を後にします。

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ナビに従い車を走らせると、交通標識に”クリスマスツリーの木”を発見。
もう、ラッキー過ぎて驚きません。

近くまで来ると、写真を撮影している二人の若い人の視線の先に、一本の木がありました。

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柔らかくまるみを帯びた丘の稜線の上の夕暮れの空を背景に、えもいえぬ存在感で、
そこに立っています。
 

今日起きた、たくさんの幸運な出来事に感謝しながら、
次第に暗くなりつつある空の下で、

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しばらくぼんやりと丘を眺めた後、
富良野への帰途についたのでした。








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ラッキーな偶然を幾つも演出してくれた
北海道の大地に感謝して、
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